📙専門部会より📙関西狛犬部会「住吉型狛犬狛犬見学会」の報告
関西狛犬部会活動報告(第三回)
京都市蔵王堂光福寺笏谷石狛犬・掛仏の実地調査(令和7年6月14日)
医王山蔵王堂光福寺(西山浄土宗)の笏谷石製狛犬を有志で調査した。参加者は目黒輝或氏・山下立氏・磯辺ゆう氏・綱川潔氏と川野である。
笏谷石製狛犬は、京都府立大学三回生の目黒力輝氏が見出したもので、このたびご住職様のご厚意を頂き、調査した。立耳・二段房など、早期の笏谷石製狛犬の特徴を具えているものの、前足の旋毛がなく、陽物の表現がないなど、早期の特徴を欠くところもあり、17世紀前期辺りの制作ではないか、と推測した。法量は阿形=像高:47.0㎝・総高:50.5㎝/吽形=像高:47.6㎝・51.5㎝。
二段房ではあるが先端が三角形で、希少な特徴がある個体で、頭部は細かく彫刻され、特に念入りに制作されたことが伺われる。
最大の特徴は、全体を彩色してあることで、希少な個体である。緑青色を基調としているかのようである。剥離が多いが、それでも走り毛を手書きで表現する、毛卍紋(けまんもん)に相当する円環も体躯に多数見受けられた。目黒氏の意見では仏龕の彩色に近く、こちらの現地で彩色されたかに思えるとされた。
掛仏は、銅造蔵王権像掛仏で、紀年銘ないものの、江戸期のもので、貴重な資料である。
丹波佐吉の石仏・狛犬や浪花狛犬にお詳しい磯辺ゆう氏や狛犬彫刻師の綱川潔氏からも多くの知見がだされ、参加者で様々な議論が進み、今後の笏谷石製狛犬の調査にも役立つ会となった。
詳細は目黒力輝氏が会誌187号(12月号)にて報告の予定。
(川野明正記)


