📰日本の石仏第185号が福井新聞に掲載されました📰

福井新聞(2025年6月18日朝刊)に「日本の石仏」第185号のご紹介記事が掲載されました。記事のタイトルは「石塔、石仏、狛犬 笏谷石文物の研究特集 質・量 極めて特異な発展 日本石仏協が会誌」です。
取材を受けご対応くださいました古川様、山下様、ありがとうございました。(紙面は直接掲載できませんので、ご紹介と要約を掲載させていただきます。)


『日本の石仏』誌185号は、本誌初の「笏谷石文物」特集です。
笏谷石とは、福井市内の足羽山山麓で採掘される良質な凝灰岩のことで、やや青みがかって美しく、緻密・軟質で加工に適しているため、石塔・石仏・狛犬など、古くから石造物の素材として用いられてきました。
しかし、研究は必ずしも盛んではなく、これまで学術誌で特集が組まれる機会もほとんどありませんでした。
笏谷石文物についての論考・報告が並ぶ本号が、笏谷石の地元にあたる福井県内で注目を集め、地元紙に当たる福井新聞に取り上げられたのはそういうわけです。
誌面では、論考の内容についても一部紹介されています。福井県とその周辺は、石仏協会の会員数の少ない地域でもありますので、この新聞記事がきっかけとなり、本誌や笏谷石文物について、一人でも多くの方に関心を持ってもらえればと期待します。(山下)

石造物を研究する団体、日本石仏協会(本部東京)が、福井県産の笏谷石文物を特集した会誌「日本の石仏」185号を発行、県内外の専門家が研究成果を寄稿している。
山下立氏(京都市)は、中世の笏谷石文物を代表する石塔、石仏、狛犬の歴史的意義と特徴をまとめた。
各種石造物のうち石塔は、13世紀後半から14世紀にかけて生産体制が整い、16世紀以降の朝倉氏による石材産業保護育成政策により、造塔が爆発的に広がったと考察する。
山下氏は笏谷石製の石仏、狛犬についても先駆的な展開があったとし、「日本石造物史の中で、質・量とも極めて特異な発展を遂げてきた」と紹介している。
古川登氏(越前町)は最古の笏谷石製石塔について論じた。塔身装飾のデザインなどから、福井市片山町の明光寺谷五輪塔の水輪を最古の作(12世紀前半・平安後期)と推定、塔身装飾の起源とみている。
また、越前固有の笏谷石様式の石塔の変化がたどれる点に注目。他の地域から工人を招いた一過性の製作ではなく、凝灰岩で石塔を作っていた特定の地域から越前の領主層が工人を呼び寄せ、定着させていたと推測している。
このほか、あわら市郷土歴史資料館で昨年開かれた「越前特有の石造狛犬大集合」展について、九千房英之館長が展覧会の意義や今後の展望を記している。

A5判、116㌻。定価2200円(税込み)。
問い合わせは同協会事務局の明治大・川野明正研究室☎070(2178)2965へ。

福井新聞Ⅾ刊(オンライン有料版)

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