❏ 今週の石仏リンク ❏ 23

会員の皆さんの活動をご紹介するコーナーです。全国の会員、関連団体の皆さんは今頃どんな活動をしていらっしゃるでしょうか。なかなか会えない遠くの石仏仲間と情報交換をしたり交流を深めましょう。

今週ご紹介するのは長崎県長崎市在住の近藤隆二郎さん。今年6月、長年の写し巡礼地研究の成果をまとめた『写し巡礼地の社会学―ミニチュア霊場の構造と変容』をご出版されました。岩田書店でのご紹介ページはこちらからご覧いただけます。

昨今注目を集め関心が高まっている写し巡礼地について、圧倒的なボリュームで迫ります。近藤隆二郎さんは1965年生まれ、元滋賀県立大学教授。実は来年3月の談話室で写し巡礼地についてお話してくださることになりました🎉さっそく近藤さんからご著書のご紹介をいただきましょう。👇👇👇

本書では、四国八十八ヶ所や西国三十三ヶ所など、身近な場に代替的な空間としてつくられた霊場を「写し巡礼地」と呼び、それは国内外に多数存在する。本書では、とくに石仏を並べてつくるミニチュア霊場を取りあげ、環境計画を専門とする著者が30年以上調査を続けてきた北播磨・和歌山・江戸・大和郡山、そしてハワイの事例を対象として、詳細なデータに基づき分析。宗教民俗の視点はもとより、造園学・社会学・環境学などの観点から光を当てることで、日本の巡礼史・空間史において魅力的な対象である写し巡礼地(ミニチュア霊場)の現状を考察し、その保全と再創を目指す。図表多数。

主要目次

 Ⅰ ミニチュア化された写し巡礼地の時空・様相
第1章 ミニチュア巡礼地の空間体験構造
第2章 集落の「共演空間」としてのミニチュア巡礼地
第3章 ミニチュア巡礼地の成立プロセス

 Ⅱ 写し巡礼地の広がりと地域社会
第4章 和歌山県下における写し巡礼地の展開と空間
第5章 コモンズとしての写し巡礼地

 Ⅲ 飛躍変容した写し巡礼地
第6章 江戸における写し巡礼地の鑑賞構造
第7章 ハワイ日系人社会における写し巡礼地の成立と変遷
第8章 大和郡山市番条八十八ヶ所のコミュニティ結合効果

 Ⅳ「写し」の構造
第9章 「写し」の構造化
第10章 写し巡礼地における身体・空間・時間

 Ⅴ 写された巡礼地の行方
第11章 “写された”シナリオの正統性獲得と更新
第12章 写し巡礼地の保全と再創