第50回総会 記念講演 中沢新一氏「丸石神の謎」レポート 📝
過日1月31日日本石仏協会総会で、中沢新一先生に来年創立50周年となる本会の記念講演をしていただきました。といいますのも、お父上の中沢厚先生は、本会創立期に活躍された先達のお一人だからです。「丸石神の謎」という演題もお父様の論考の題から採られています(中沢厚『石にやどるもの―甲斐の石神と石仏』平凡社 2009年年所収)。


前半は、中沢厚先生が武田久吉先生(植物学者で民俗学者、外交官アーネスト・サトウの息子)に出会って民俗学の道に入り、その後丸石神研究に中断を挟んで没頭していく後半生を息子さんの目から詳細に語って頂きました。丸石神の調査には、中沢新一先生も参加されています。また、一時期政治の世界に没頭して民俗学から離れた時期に、息子として復帰を促すようなことも話されたそうです。中沢厚先生が、民俗学に身を再び投じて「生き直す」さまなど、親子呼応する関係にあったことも知りました。


後半は、丸石神研究で金生遺跡の発掘などからお父上が見ておられたその後の可能性を、中沢新一先生の視点から考古学や神話学の知見から描いて見せるというもので、親子二代の御研究が継承の上展開するお話でした。太平洋側から入った海民が丸石という共通の信仰をもち、日本海側から入った海民が双体道祖神につながる神話も含めた伝承を伝えていることなどが語られ、とりわけ台湾の石神に丸石が多いことなどを知っている私としても、丸石道祖神といわず、丸石神と呼ぶことで見えてくるものが多いと感じました。道祖神研究をより進めるに当たり、考古学や神話学からの考察も有益であろうと思いました。(川野)
《おしらせ》今回のご講演のテーマでもある中沢先生のご著書『丸石神』がいよいよ刊行されます。詳細・ご購入はこちらから。
書 名:丸石神(まるいしがみ)
著 者:遠山孝之(写真)中沢厚(文)石子順造(文)小島福次(文)中沢新一(文)堀慎吉(編)
造 本:A5判上製268頁(グラビア4色40頁+2色48頁を含む)
価 格:本体4800円(税別)
発行:カノア


伝説の書『丸石神 庶民のなかに生きる神のかたち』(木耳社1980年刊)を再編集し、中沢新一の書き下ろし論考「『丸石神』の残したもの」を増補した新装決定版。
山梨県をはじめ九州、四国、南紀には、大小あわせて数千にあまる自然石の丸石が道祖神や屋敷神としてさりげなく祀られ、まろやかな調和のうちに太古のまどろみを続けています。なぜ丸石を神として祀るのか、日本人の神観念や美の感覚とそれはどう関わっているのか、今もなお生活の場に生きつづける丸石神は、人々の日々の営みとどのようにわたりあい、どのような過去をたどってきたのか。そもそもいかにして丸石は形成されたのだろうか……。1970年代、丸石神をめぐるさまざまな謎を研究する民俗学者や美術家たちの集団がありました。本書は、その丸石神調査グループによるユニークな知的冒険の記録であり、中沢新一が「私の原点」と語る貴重な書籍の増補新版です。
当時の雰囲気をそのまま再現した色彩の美しいカラー写真と、ダブルトーン印刷で表現したモノクローム写真をグラビアページに129点収録。本文中には資料的価値の高い図版を100点以上掲載。調査グループのメンバーを集合写真にて紹介し、巻末に引用の出典元をまとめました。(紹介ページより)

