🔸川野会長がラジオ出演しました🔸
2024年11月14日(イイイシ)の日、ということで川野会長が宮城県のラジオ番組に出演されました。
先ほど放送は終わったのですが、その放送内容を文章でご紹介します。
(tbcラジオ 月‐金8:30~11:30生放送)
・放送日時 :2024年11月14日(木)11:00~11:10 頃 電話出演
・リモートゲスト:日本石仏協会 会長 川野 明正(かわの あきまさ)様
・パーソナリティ:増子華子(ますこ はなこ)tbc東北放送アナウンサー
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■(以下■は増子華子アナウンサー) 毎月第2週の木曜日は、私たちの日常が豊かになるよう、日夜活動を続ける日本全国の様々(ようよう)な協会を紹介しています。今日11月14日は「いい石の日」ということで、石の仏さま・石仏の研究などを行っている、日本石仏協会に注目します。会長の川野 明正(かわの あきまさ)さんと電話がつながっています。こんにちは・・・
・会長の川野です。「いい石の日」、おめでとうございます♬。
■おめでとうございます(笑)。宜しくお願いします。いまどちらにいらっしゃいますか?。
・沖縄の那覇なんですけれど。
■学会とか御出張とかですか?。
・はい。私は明治大学の教員なのですけれど、ボードセーリング部、いわゆるウインドサーフィンのインカレ出場選手らの引率に来ております。毎年明治大学ボードセーリング部は優勝していまして、団体戦は7連覇しています。
■すごい、そうなんですね。でも、石仏とは今日は別のお仕事ということなんですが、御出演ありがとうございます。まず、日本石仏協会はどんな組織なんですか?
・日本石仏協会は1977年に、石仏研究に大きな足跡を残した大護八郎氏が各地の研究者に呼びかけ設立しました。石仏研究の発展と、石造文化財を保護する思想の普及、そして石仏愛好者の交流を目的とした全国組織の会です。現時点11月時点で300を少し越える会員数です。
■主にどんな方が会員になられているんですか?
・会員さんは、石仏に興味をもっている、或いは研究されている在野のごく普通の会社員の方や主婦の方が多いです。他に博物館や資料館の学芸員さんとその卵、大学教員やその卵、そして実際に石仏や狛犬を作っている石工さんや彫刻家などの方などと、さまざまな方です。
■川野会長御自身は、専門としてはどういう研究をなさっているのですか?。
・主に中国の獅子や日本の狛犬などですね。
■どんな活動をされているんですか?
・年3回、会の機関誌『日本の石仏』を発行しています。これには石仏について、様々な角度からの特集記事や、会員による研究論文・調査報告を掲載しています。また石仏入門講座や狛犬講座など、新しく興味をもたれた会員向けの連載記事も充実しています。
・会員による石仏の調査報告・研究発表・入門講座・意見交換、そして交流の場として、「石仏談話室」を月一回開催しています。次回は12月14日に石巻出身の彫刻家高家理(こうけおさむ)さんに、狛犬の修復についてお話して頂きます。次回は、東京・お茶の水の明治大学で開催します。会員以外の方も参加できますのでご興味の有る方は是非ご参加下さい。
・毎年8月に、特別講師、会員による「石仏公開講座」を実施しています。来年度は「石造物研究の最前線」と題して、ちょっと尖った講座を開く予定です。墓標研究・狛犬研究・石碑研究など、各分野で最先端の研究を切り拓いて活躍している気鋭の研究者にお話し頂く予定です。
■専門的な活動が中心のようですね? 他には?
・首都圏を中心に年4回、石仏一日見学会を実施しています。地元の講師の方の案内で神社仏閣の石仏などを見て歩きます。こちらも会員以外の方も参加できます。
・地方には年2回、バスでの見学会を行っています。
・毎年1月には、会員が撮影した石仏写真の展覧会を実施しています。
■墓標とか石の仏様とか、狛犬とか、石で造られたものは全部含まれるのですね。
・はい。一言で言いますと、宗教的な石造物全般を扱っております。
■そうですが、宮城県はいらしたことごさいますか?。
・宮城県は何回も来ております。特に南部の丸森町の猫のレリーフなどは好きですね。
■丸森、そうなんですよ。猫神さまを祀っているところがいっぱいあるんですよね。
・十三年ほど前の水害で壊れた猫のレリーフがいまの村田町歴史みらい館館長である石黒伸一朗氏の努力でだいぶたくさん救出されましたですよね。今では町おこしの大切な主役としても認知されていますね。
■そうしますと、動物像とか狛犬とか、そういう物を観るのがお好きということですか?
・はい。狛犬は特に好きで、もう友達という感じです。石仏は拝むものですけれども、そこは違いますね。
■日本にはどのような石仏があるんですか?
・阿弥陀如来さま・大日如来さま・観音菩薩さま、観音さまは形がたくさんあります。或いは地蔵菩薩さまなどですが、これらは仏教系といえますが、手の組み方、腕の上下などで、印(いん)を結んでいますから、印や持っているもので見分けます。仏教系だけではなく、長野県の安曇野などで、夫婦で手を握り合っている姿で知られている道祖神などの民間の神様も石仏と呼ばれています。だから神という字を加えて、「石神仏」というときもあります。庚申塔など中国の道教信仰と仏様が結びついたりした石造物、或いは宗教的な石造物も扱います。
■石仏をとりまく現状とは?
・じつは石仏協会でも今年は会員数が五十名ほど増加しています。地道ですが、意外に早いテンポで石仏への関心が広まっています。これから石仏も一層愛好者が増える気運が充分感じられます。
■愛好者でいいますど、会員が増えたきっかけはなんですか?。
・きっかけ、きっかけですか?。うーん。会長も全国を飛び回っておりますけれども。あ、ホームページですね。その充実がきっかけになっています。わけても狛犬は人気もありますが、宮城県でも情報誌の『りらく』2024年5月で特集が出ましたね。宮城県でも狛犬は人気が出てきていると思います。
■狛犬特集号、私も読みました。素晴らしい特集でした。もう一冊丸々狛犬特集でしたね。
・はい。また、石仏の現状として、石仏の文化財価値にも注目してもらいたいです。とくに保存も重要な課題です。
・日本の石仏は、日本特有の湿度が高い環境から、苔が生えます。だから元々傷みやすいです。石巻出身の高家理さんのような、石造物のお医者さんのような方も必要ですね。志ある石工さんや彫刻家さんは治してくれることもあります。
・石巻では、大震災・大津波の被害から、今でも割れたままの狛犬さんが多いです。石巻の石材の井内石(稲井石)は、スパッと割れますから、エポキシ接着剤で本来充分修復可能です。石巻市の鹿嶋神社の狛犬は、天明三年(1783)の古い狛犬ですが、針金でぐるぐる巻きにされて保存されています。2年後に奉納された女川町の熊野神社の狛犬も針金で巻いたままです。でも、あと一手間で、元の姿に戻るのです。これらの狛犬や石造物の修復の必要は、文化財保護の観点から、是非、県民の皆さんの心に留めて欲しいです。
■修復は専門家というと、石工さんですが、それとも彫刻家の方がするのですか?。
・はい。両方とも修復できる方がおられます。ただ、アプローチは違いますね。専門の業者さんもいます。
■彫刻家の方の修復と石工さんの修復はどう違うのですか?。
・たとえば高家さんの場合は、修復した箇所がわかるように敢えて修復されています。石工さんでは、修復した箇所がわからないように修復する方も多いです。傷んだもとの形を残さないように修復する方の方が多いと思います。
■今後の協会の目標などありますか?
・今年会員数が三百人を越えましたので、関東が中心の傾向があります日本石仏協会は、名実ともに全国的な組織として発展する見込みが大いにあります。ですから、会長も全国各地の石造物関連組織と交流したりして、いわば外交に力を入れております。すでに『日本の石仏』誌、つまり会誌は外国人研究者の論考の投稿があり、また学生さんの斬新な論考や報告の投稿もあります。日本石仏協会の扱うテーマは、アジア全域を視野に置いて、国際シンポジウムができるだけの様々なテーマがあります。たとえば、中国の慈母観音が日本で形を換えて千葉県で定着して子安観音になっています。アジア各地の石仏が、日本との比較対象となっていく事例はたくさんあります。獅子と狛犬やインドのライオン像などもそうした対象です。ですから究極的には国際シンポジウムとの実現ができたらいいですね。そうした学術的に有意義な活動を実現したいです。
■国際シンポジウム、実現したらぜひ教えてください。石仏は世界中にあるのですか?。
・宗教的に石造物は、全世界にありますが、まあ、石仏といいますと仏教ですから、仏教の分布しているところに限られますよね。インドネシアでは、ジャワ島のボロブドゥールとか、ヒンドゥー教では、バリ島にもありますね。
■日本石仏協会に入会するには?
・随時、石仏だけでなく、狛犬さんなど、さまざまな石造文化財に関心のある方のご参加をお待ちしています。日本石仏協会のホームページからお申し込みください。
■最後にラジオをお聞きの皆さんに伝えたいことは?
・宮城県は石造物も豊富です。宮城県も南部に猫のレリーフや蛇のレリーフがたくさんありますが、鶴のレリーフもあったりします。狛犬も県内各地にたくさんの形の狛犬がいます。栗原市のフェレットのような身をくねらせた狛犬さん、鹽竈神社(しおがまじんじゃ)のウルトラマンみたいな卵目の、お相撲さんみたいな狛犬さん、石巻の鶏のような変わった狛犬、或いは仙台の狛犬は、鹽竈神社の影響を受けていますが、人の顔のようなパンチパーマみたいな螺髪(らほつ)の狛犬さんが多いです。県内各地の郷土の人々の感性がとてもよく表れています。石工では宮城県と岩手県の沿海部にまたがる気仙地方や鹽竈神社には幕末の石工友輔が、端正なお座り姿の狛犬を制作しています。この種の友輔型の狛犬は、昭和初期まで続いて、気仙地方の石工や陶工によって制作され続けています。
ぜひぜひこうした身近な石仏・狛犬など、すこしでも興味をもって頂けましたら幸いです。きっとみなさん地元への郷土愛が深まると思います。
・最後に、石仏は、お寺さんの本堂におられるご本尊の仏様よりも、より身近な「野の仏」です。つまり、「いちばん身近な隣人」です。たとえば、悲しいときや落ち込んだとき、或いは人間関係が煩わしくなったとき、人間嫌いになったときに、隣人だから、石仏に手を合わせてもいいのではないかと思います。石仏は人間でない、「どこか違った隣人」だからです。
■ありがとうございました。
この時間は、日本石仏協会について、会長の川野 明正(かわの あきまさ)さんにお話を伺いました。
11時のコンシェルジュでした。
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いかがでしたでしょうか。この文章は放送終了後に川野会長よりいただきました。話したかったけど話せなかったことの補足、編集もしてくださってるそうです。
聞き逃したり、他の地域のラジオ放送も聴ける「ラジコ」というアプリがあります。
会員の皆さまは様々な地域でラジオにご出演されたりすることも多いので、ラジコをご活用してみてはいかがでしょうか。
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en ∞ Voyage TBCラジオ 2024/11/14(木) 08:30-11:30
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