10月20日(日)川島町バス見学会レポート
澄み渡る秋空のもと、埼玉県川島町のバス石仏見学会が開催されました。川島町はその名の通り、川に囲まれた「島」のような地形を持ち、歴史あるユニークな石仏が数多く残されていますが、インターネット上でもなかなか情報が見つからないため、今回の現地見学は大変貴重な機会となりました。
当日は、長年にわたり埼玉県内の石仏を調査されてきた会員の門間氏が案内を担当。参加者11名は、個性豊かな石仏の数々にに魅了されました。11月の石仏談話室でも紹介された、名工・長島亀五郎の石仏は、現存する「不動明王」や「青面金剛」など、その表情の力強さは圧倒的で、石工名が刻まれた作品は4点のみながらも、誰が見ても「これは亀五郎の作だ」とわかる特徴が刻まれています。また、庚申塔の下部に彫られた三猿は、片手で目・耳・口を覆って踊るユニークな姿であり、門間氏が「この仕草が何ともいいんだよね」と優しい笑みを浮かべて説明してくださいました。
見学の途中では、石仏の造形美のみならず、その背後にある文化や人々の生活も紹介されました。「針念仏」や「二時食」など、信仰がどのように日常に根付いていたのか、また「大山詣り」にまつわる天狗の灯籠、「五道安楽」の地蔵に刻まれた五道、六道の世界観など、地域に息づく歴史についても理解を深めることができました。
さらに、見学の終盤には、初七日から33回忌までの十三仏が刻まれた十三仏像塔の前で、仏教における人の「極楽浄土」への道が説明され、33回忌を経て故人が安らかな場所へ旅立つとされる教えについて思いを馳せました。故人への祈りとともに、自分たちの歩みを静かに振り返るひとときは、心を深く静めてくれました。
何十年もの間、数えきれない石仏を調査し、その価値を伝え続けてくださる門間氏の存在に、感謝の気持ちを新たにしました。(用松)